保育園の年間指導計画を作成するとき、「何から書き始めればいい?」「養護と教育の5領域はどう書き分けるの?」と悩むことはありませんか?
年間指導計画は、1年間の子どもの育ちを見通し、保育の方向性を考えるための大切な計画です。
しかし、園によって書式や項目が異なるうえ、限られたスペースに内容をまとめる必要があり、文章の作成に時間がかかることもあります。
この記事では、年間指導計画の基本的な書き方や項目別の記入例、作成時のポイントを解説します。
記事の後半では、0〜5歳児の年齢別に使える無料文例集も紹介しています。年間指導計画の作成や見直しに、ぜひお役立てください。
年間指導計画(年間カリキュラム)とは?

年間指導計画とは、1年間を通して子どもたちにどのような経験をしてほしいか、どのような育ちを支えていくかを考える保育計画です。
保育所保育指針に基づき、園全体の保育方針や各年齢の発達、子どもの実態などを踏まえて作成します。
年間指導計画は、年度の初めから終わりまでの見通しをもちながら、保育のねらいや内容、環境構成、保育者の援助などを整理するために役立ちます。
年間指導計画と月案の違い
年間指導計画と月案は、どちらも保育を計画的に進めるための書類ですが、見通す期間が異なります。
| 計画 | 主な役割 |
|---|---|
| 年間指導計画 | 1年間の育ちや保育の方向性を考える |
| 月案(月間指導計画) | 年間計画をもとに、その月の子どもの姿に合わせて具体化する |
| 週案(週間指導計画) | 月案を踏まえ、週ごとの活動や環境を考える |
| 日案(日間指導計画) | その日の生活や活動、援助を具体的に考える |
例えば、年間指導計画に「友だちと関わりながら遊ぶ楽しさを味わう」というねらいを設定したとします。
月案では、その時期のクラスの姿に合わせて「友だちと簡単なやり取りを楽しみながら、ごっこ遊びをする」など、具体的な内容を考えます。
このように、年間指導計画は月案や週案を考える際の土台になります。
年間指導計画(年間カリキュラム)の基本的な書き方【5つの手順】

年間指導計画は、最初からすべての項目を埋めようとすると、文章がまとまりにくくなることがあります。
まずは、次の順番で考えると作成しやすくなります。
園の保育方針と前年度の子どもの姿を確認する
最初に確認したいのは、園が大切にしている保育の考え方です。
あわせて、前年度の指導計画や保育記録、引き継ぎ内容などから、子どもたちの興味や生活の様子を把握します。
同じ年齢でも、クラスによって好きな遊びや生活経験、友だちとの関わり方は異なります。
年齢の一般的な発達だけでなく、実際の子どもの姿を踏まえて考えることが大切です。
年間の保育目標を決める
次に、1年間を通して大切にしたい育ちを年間目標としてまとめます。
例えば、次のような目標が考えられます。
- 安心できる環境の中で、自分らしく生活する。
- 身近な人との関わりを通して、思いを伝える楽しさを感じる。
- 興味のある遊びに主体的に取り組み、さまざまな経験を重ねる。
年間目標は、すべての子どもに同じ到達を求めるものではありません。
一人ひとりの発達や興味を大切にしながら、保育の方向性を示す文章にするとよいでしょう。
年間を期ごとに分けてねらいを考える
年間目標を決めたら、各期のねらいを考えます。
例えば、年間を次の4期に分ける方法があります。
- 第Ⅰ期:4〜6月
- 第Ⅱ期:7〜9月
- 第Ⅲ期:10〜12月
- 第Ⅳ期:1〜3月
ただし、年間の区切り方は園によって異なります。
各期のねらいを考えるときは、季節や行事だけでなく、子どもたちの生活や遊びの変化にも目を向けましょう。
例えば、進級直後は新しい環境で安心して過ごすことを大切にし、年度後半には好きな遊びを深めたり、友だちとの関わりを広げたりする姿を見通すことが考えられます。
養護・教育の内容を考える
各期のねらいを決めたら、養護と教育の内容を具体的に考えます。
養護では、健康や安全、情緒の安定など、子どもが安心して生活するために必要な援助を整理します。
教育では、遊びや生活を通して経験してほしいことを、年齢や発達に応じて考えます。
特に0歳児は月齢差が大きいため、ほかの年齢と同じように一律の内容を設定しないことが大切です。
環境構成や保育者の援助を具体化する
ねらいや内容を考えたら、それを実現するために必要な環境や援助を整理します。
例えば、「身近な自然に興味をもつ」というねらいなら、次のような援助が考えられます。
- 季節の草花や虫に触れられる機会を設ける。
- 子どもの発見や疑問に共感し、一緒に観察する。
- 興味をもったことを繰り返し楽しめるよう、時間や場所を確保する。
「何を経験してほしいか」だけでなく、そのために保育者がどのような環境を整えるかまで考えると、実際の保育につながる計画になります。
年間指導計画(年間カリキュラム)の項目別の書き方と記入例

ここからは、年間カリキュラムによく使われる項目について、書き方のポイントと短い文例を紹介します。
文例はあくまで一例です。年齢や子どもの姿、園の書式に合わせて調整してください。
ねらいの書き方
ねらいは、その時期に子どもがどのような経験をし、何を感じたり楽しんだりしてほしいかを表すものです。
「何ができるようになるか」だけでなく、安心感や意欲、遊びの楽しさなども大切にしましょう。
記入例
- 安心できる環境の中で、好きな遊びを十分に楽しむ。
- 保育者や友だちとの関わりを通して、自分の思いを表す。
- 身近な自然に興味をもち、見たり触れたりして楽しむ。
養護の書き方
養護は生命の保持と情緒の安定の2つの側面から考えます。
生命の保持
健康状態や生活リズムを把握し、子どもが安全で快適に過ごせるようにするための援助を考えます。
記入例:
- 一人ひとりの健康状態を把握し、体調に応じた保育を行う。
- 気温や活動量に応じて衣服や室温を調整し、快適に過ごせるようにする。
- 食事や睡眠、排泄などの生活リズムを大切にする。
情緒の安定
子どもの気持ちを受け止め、安心して自分らしく過ごせるようにするための援助を考えます。
記入例:
- 一人ひとりの思いを丁寧に受け止め、安心して過ごせるようにする。
- 自分でやってみようとする姿を認め、意欲や自信につなげる。
- 保育者との信頼関係を土台に、好きな遊びを十分に楽しめるようにする。
教育5領域の書き方
満1歳以上の子どもの教育に関わる内容は、保育所保育指針の5領域を踏まえて考えます。
5領域は健康・人間関係・環境・言葉・表現です。
健康
- 戸外で十分に体を動かし、遊ぶ楽しさを味わう。
- 身の回りのことに興味をもち、自分でやってみようとする。
人間関係
- 保育者や友だちと関わりながら、遊ぶ楽しさを感じる。
- 自分の思いを伝え、相手の気持ちにも触れる。
環境
- 身近な自然や季節の変化に興味をもつ。
- さまざまな素材に触れ、試したり工夫したりして遊ぶ。
言葉
- 自分の思いや経験したことを、言葉で伝えようとする。
- 絵本や物語に親しみ、言葉のやり取りを楽しむ。
表現
- 音楽やリズムに合わせて、体を動かすことを楽しむ。
- 身近な素材を使い、自分なりに表現することを楽しむ。
5領域は、それぞれを独立した活動として考える必要はありません。
例えば、砂遊びの中でも、友だちとの関わり、素材への興味、言葉のやり取りなど、さまざまな育ちが見られます。
実際の遊びや生活を思い浮かべながら、各領域の内容を考えましょう。
環境構成・保育者の援助・配慮の書き方
環境構成や援助では、子どもが安心して活動できるように、どのような準備や関わりが必要かを具体的に記入します。
記入例
- 子どもが好きな遊びを選べるよう、興味に合った玩具や素材を用意する。
- 一人ひとりの発想や工夫を認め、遊びを十分に楽しめるようにする。
- 友だちとの思いの違いを受け止め、必要に応じて仲立ちする。
食育の書き方
食育では、食事を楽しく安心して食べることや、食材への興味、年齢に応じた食事の経験などを考えます。
記入例
- 落ち着いた雰囲気の中で、食事を楽しむ。
- 旬の食材に興味をもち、食べ物への関心を広げる。
- 自分で食べようとする気持ちを大切にし、必要に応じて援助する。
食べる量や食材の好み、咀嚼の発達には個人差があります。無理に食べることを求めず、安全面にも配慮することが大切です。
子育て支援(保護者支援)の書き方
子育て支援では、家庭との情報共有や保護者の気持ちへの寄り添い、子どもの成長をともに喜ぶ関わりなどを考えます。
記入例
- 園での遊びや生活の様子を具体的に伝え、成長を共有する。
- 家庭での生活や健康状態について情報交換し、保育に生かす。
- 保護者の悩みや不安を丁寧に受け止め、信頼関係を築く。
0歳児の年間指導計画(年間カリキュラム)はどう書く?

0歳児クラスの年間指導計画は、1〜5歳児とは少し異なる視点が必要です。
同じ0歳児クラスでも、生後数か月の子どもと1歳を迎えた子どもでは、授乳や睡眠、運動発達、遊び方などが大きく異なります。
そのため、年間を4期に分けるだけでなく、月齢や発達に応じて内容を考えることが大切です。
乳児保育の3つの視点
保育所保育指針では、乳児保育の内容を次の3つの視点で示しています。
- 健やかに伸び伸びと育つ:身体の発育や運動機能、心地よく体を動かす経験など
- 身近な人と気持ちが通じ合う:保育者との応答的な関わり、安心感、表情や声によるやり取りなど
- 身近なものと関わり感性が育つ:身近な物への興味、探索活動、音や感触などの経験
なお、満1歳以上3歳未満児の保育内容は、養護と教育5領域を踏まえて示されています。
0歳児クラスでも年度途中で1歳を迎える子どもがいるため、実際の計画では年齢や発達に応じて考える必要があります。
月齢別の文例から選ぶ方法もおすすめ
0歳児の年間指導計画を作成するときは、次のような月齢区分を目安にすると、文例を探しやすくなります。
| 月齢の目安 | 主に考えたい内容 |
|---|---|
| 生後2〜5か月頃 | 授乳・睡眠・安心感・保育者との触れ合い |
| 生後6〜8か月頃 | 寝返りなどの体の動き・離乳食・身近な物への興味 |
| 生後9〜11か月頃 | 移動や探索・模倣・しぐさによる意思表示 |
| 1歳〜1歳2か月頃 | 移動の広がり・身近な人とのやり取り |
| 1歳3〜5か月頃 | 歩行や探索・言葉の芽生え・自分でやりたい気持ち |
| 1歳6か月〜2歳未満 | 自己主張・言葉のやり取り・見立て遊び |
ただし、月齢は発達の到達基準ではありません。
例えば、同じ月齢でも、はいはいを楽しむ子どももいれば、座ってじっくり玩具に触れることを好む子どももいます。
園で年間計画を4期に分けている場合も、各期の子どもの実態に合う文例を選んで調整するとよいでしょう。
年間指導計画(年間カリキュラム)を書くときの3つのポイント

ここでは年間指導計画を書くときのポイントを3つご紹介します。
年齢の一般的な姿だけで決めない
年間指導計画では、年齢ごとの発達を踏まえることが大切です。
ただし、同じ年齢でも興味や得意なこと、生活経験は一人ひとり異なります。
例えば、友だちと一緒に遊ぶことを楽しむ子もいれば、一人でじっくり遊ぶことを好む子もいます。
「年齢的にできるはず」と考えるのではなく、クラスの子どもたちの姿に合わせて、ねらいや援助を調整しましょう。
文章は短く、具体的にまとめる
年間指導計画は、記入欄が限られている場合も多いため、短くわかりやすい文章が便利です。
例えば、「季節の移り変わりを感じながら、さまざまな自然物に興味や関心をもち、保育者や友だちと一緒に触れたり観察したりすることを楽しむ」という文章は、記入欄によっては長く感じられるかもしれません。
その場合は、次のようにまとめられます。
「身近な自然に興味をもち、見たり触れたりして楽しむ。」
必要な内容を簡潔にまとめることで、計画のねらいも伝わりやすくなります。
作成した計画を見直し、月案につなげる
年間指導計画は、年度開始前に作成して終わりではありません。
実際に保育を進める中で、子どもの興味や生活の様子が変化することもあります。
そのため、必要に応じて年間計画を振り返り、月案のねらいや環境構成に反映させることが大切です。
年間カリキュラムで大きな方向性を考え、月案でその月の子どもの姿に合わせて具体化していきましょう。
【無料】0〜5歳児の年間指導計画の文例集
ここまで年間指導計画の書き方を紹介してきましたが、実際に文章を考えるときは、複数の文例からクラスに合うものを選べると便利です。
そこで、0〜5歳児の年間カリキュラム文例集を、noteで無料公開しています。
1〜5歳児は、年間を4期に分けて各230文例を収録しています。
0歳児は月齢による発達差を踏まえ、6区分・全280文例でまとめています。
0歳児|年間カリキュラム文例280選
月齢別6区分で、養護と乳児保育の3つの視点を中心にまとめています。
授乳や睡眠、探索活動、保育者との関わりなど、月齢や発達に合わせて文例を選べます。
1歳児|年間カリキュラム文例230選
歩行や探索活動、言葉の芽生え、自分でやりたい気持ちなど、1歳児の育ちを踏まえた文例集です。
2歳児|年間カリキュラム文例230選
自我の育ちや言葉でのやり取り、友だちへの興味、生活習慣などを踏まえた文例集です。
3歳児|年間カリキュラム文例230選
新しい集団生活への安心感や、友だちとの関わり、好きな遊びを広げる経験などを踏まえた文例集です。
4歳児|年間カリキュラム文例230選
友だちと関わりながら遊びを深めることや、自分の思いを伝えること、試したり工夫したりする経験を大切にした文例集です。
5歳児|年間カリキュラム文例230選
友だちと共通の目的に向かって取り組む経験や、主体性、協同性、就学につながる育ちを大切にした文例集です。
いずれも、各項目の文例をすべて使用する必要はありません。
クラスの実態や園の方針に合わせて、必要な文章を選んだり組み合わせたりしてご活用ください。
まとめ
年間カリキュラムは、1年間の子どもの育ちを見通し、保育の方向性を考えるための大切な計画です。
作成するときは、園の保育方針や子どもの実態を確認し、年間目標から各期のねらい、養護・教育の内容へとつなげていきましょう。
また、年間計画は一度作成したら終わりではありません。日々の保育を通して見えてきた子どもの姿を踏まえ、必要に応じて見直すことも大切です。
文章に迷ったときは、今回紹介した0〜5歳児の無料年間カリキュラム文例集も参考にしてください。
一人ひとりの子どもに合った保育計画を考える際に、少しでもお役に立てばうれしいです。

